ミニチュアについて考えるのココロだ?!


サンダーバード A GOが面白い

8月からスタートしたNHK総合「サンダーバード A GO」
本作は1960年代の伝説の人形活劇「サンダーバード」のリブート作品で、今回はリアルなマリオネットに代わりCGが大活躍!
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ここでキーになるところは全編がCGだけでなく(2004年度版はそこで失敗したのか興行成績が不振でした。)「ミニチュアパートとCGパートの合成で作品が出来上がっていて、見ていても昔の作品を懐かしみつつ鑑賞でき非常に面白い作品に出来上がっております。

CG全盛の時代にあえてミニチュア。CG以前の昔は通常じゃありえない物や風景には特撮=ミニチュアが多用されていました。今は特撮なんて言葉はノスタルジックなキーワードになってしまいましたね。しかし、そんな古いともいえる映像表現を最先端のCGとの合成でリブートなんてファンじゃなくてもワクワクしますね。
第一話で見せたオリジナルに出演メカ、ゴングを彷彿させる海中多脚調査プローブ。これがミニチュアだから海中の濁りや光の照り返しなどが、実物とミニチュアの境界線をあいまいにしてしっかりとアイキャッチされます。
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精密な模型とか自然とじっくり見てしまいますよね。サンダーバード A GOの真の面白さもそこにあるのでしょうか。

 

なぜ精巧なミニチュアは人の心を掴む?

これぞミニチュアの神髄。情景師、荒木智氏の作品。

これぞミニチュアの神髄。情景師、荒木智氏の作品。

サンダーバードの面白さを引き出すミニチュアたち、精密に出来ているからこそ映像作品としても成功したのでしょう。精巧に出来ている模型は人の心を揺さぶりますね。

精密、精巧な模型というのは何もプラモだけではなく、その昔は木でできていたソリッドモデルがありますし、男性だけの趣味でもなく、女性にはドールハウスや今はやりのスイーツデコ。そして一般社会には博物館の復元模型や、町の全体模型などなど。ミニチュアを愛する心は広く一般に浸透していますよね。そして今ほど素材と表現に多様性がない昔には、紙で作る折り紙や粘土でできた埴輪などがありました。「模した型」を鑑賞する感性を人は太古の昔から持ち続けていたに違いありませんね。

昭和30年代、プラモデルでなく木製のキットが当たり前であった。

昭和30年代、プラモデルでなく木製のキットが当たり前であった。

プラモデルは子供のおもちゃ?

最近はプラモデルが売れないなんて声を聞きますが、そもそも、マルサンの「ノーチラス号」からスタートしたプラモデルは時代の移り変わりによって、その手軽さと値段の安さでいつもプラモデルはいつでも子供の遊びの中心でした。戦記物ブームになればスケール物が売れ、サンダーバードの登場でキャラクタープラモが売れ、スーパーカーブームでカーモデルが。そしてヤマト・ガンダムによるジャパニーメーション・スケールモデルが大ヒットにより、今の巨大おもちゃメーカーバンダイの誕生につながります。(それはまた別の話・・・。)

1976年のミグ25亡命事件ではハセガワ製のミグ25のプラモが爆売れ

1976年のミグ25亡命事件ではハセガワ製のミグ25のプラモが爆売れ

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何しろ、高い値段のおもちゃに代わり、カタチが同じで値段の安いプラモデルは子供にとって玩具の王道だったに違いありませんね。そう思うとプラモデルの売り上げは子供数によって決まるのは仕方がないことですよね。

子供にとってはプラモデルの方が手に入りやすかった。

子供にとっては超合金よりもプラモデルの方が手に届きやすかった。

ですから、お店やデパートの前にプラモデルを買うために列をつくる光景は見ることはないんでしょうね。時代が変わって子供たちの遊びのメインがゲームに移ってしまった今を思うと、子供にとってプラモを完成するのとゲームをクリアするのは同じ熱量とステータスだったんでしょうね。

プラモデル趣味の将来

さて、そんなおもちゃから今ではホビーとして認識されたプラモデル。しかし、それと同時に世界で少子化に悩む国々では当然、プラモデルの購買層の高齢化とマーケットの縮小傾向も悩みのたね。

プラスチックのパーツを切って接着して塗装するなんていう工作方法を体験することがない若い人々も増えてきています。そのうち、プラモデルがなくなってしまうのでは、なんて事も頭によぎるかと。

しかし、世界に目を移せばまだまだプラモが元気な国々は多く、ここ近年では海外で新興のメーカーが増えてきていますし老舗のエアフィックスさえ、低価格で1/72の新規金型の飛行機が続々と販売され人気を博しています。

新しい成形技術でリニューアルされると欲しくなってしまうのはモデラーのサガ

エアフィックスから発売予定、新規金型の九七艦攻、出来れば日本のメーカーからリリースをして欲しかったのはヤマさんだけではありますまい。

そんな海外メーカーの動向を思うとプラモデルを趣味にする人々は世界中に大勢いるのは間違いないです。先月発売のモデルグラフィックス「F14 トムキャット」マガジンキットがホビーリンクジャパンを通して世界中に発売されていることを見ても、これからのプラモデルはボーダーレスを迎えることでしょう。ネット環境と相まって世界中の人の作品やテクニックが手に入るのも新しい時代だからこそ。海外モデラーの作品などが気軽に見ることができるなんて20年前には考えられないことですからね。
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そう思うとまだまだプラモデルがなくなるなんて心配は必要ないみたいですね。

進化する模型の製作環境

昔のホビー雑誌には毎月必ずと言っていいほど、図面が付属していたりしていてキットを元にして各サブタイプを作ってみよう、なんてスクラッチ記事がありました。しかし今では沢山のメーカーがそろった結果、大抵のモデルは手に入るようになり、サードパーティー製のパーツも多く流通することになり昔に比べてキットを加工する機会もなくなりました。その分仕上げに凝る時間も多くなり過去に比べるとモデラー全体の技術は向上しています。
しかも、ただ組んで塗装して終わりというスタイルより、他分野からの素材や工作機械なども利用してさらにより良い仕上げを行うスタイルが増えてきました。エアブラシを始めとして、専用塗装ブース、精密なリューター、デカールなどが作れるプリンター、最近では3Dプリンターなどの台頭、どれも小さいスペースでは収まりきれないものばかり。
スペース的にも予算的にも一人で取り揃えるには限界があります。

そんなジレンマを解消するためにも新しいカタチとしてもプラモデルの完成を物理的にバックアップしていく場の需要も増えていくことでしょう。

 

プラモデル作りの醍醐味は自分の思ったような作品を仕上げることでしょうか。
でも大体が失敗することも多くて思い通りの作品ができることは珍しかったりして

だから私たちモデラーはプラモデルを作り続けるのでしょうか・・・。

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